3331 Arts Chiyodaにて開催されている「ILLUSTRATION WAVE Vo.1」に行ってきた。
日本を代表する222人のイラストレーターによる作品が集まった、かつてない規模の展覧会である。
国内外ですでに高い人気を得ているイラストレーターは数多くいるものの、その全体像が見渡せる展覧会は少ない。
1Fメインギャラリーでは、そんな日本のトップイラストレーターとも言えるべき作家たちの作品がずらりと並んでいた。
日本の「今」を支える若手から大御所まで、デザイナー、アーティスト、イラストレーターと自在に活躍する実力派の作家揃いだ。
田名網敬一、空山基といった日本のギャラリーでアーティストとして活躍する作家の作品も展示されている。
特に美術関係者の間では、現代アートとイラストレーションを分ける見方が多く、ポップアートとハイアートという異なる分野として区別されてきたが、この展覧会ではそう言った区別にもはや意味がないということを示している。
日本のアートはグラフィック、デザイン、イラストと多様なジャンルの中で発達することにより、相互に影響しながら進化を遂げてきているのだ。
3331という、アートスペースの中心的存在と言える施設で、あえてイラストレーターによる展覧会を開催したことは、マーケットにアートコレクターの目を向けさせる意図を感じる。
これと同じようなことは、セカンダリーのマーケットでも起こり始めている。
SBIアートオークションでは11月3日に「原宿オークション」を開催する。
このオークションはポップアートやグラフィティ・アート、デザイン製品などが多く出品される、通常のオークションとは少し違った品揃えになっている。
バンクシー、KAWSなどおなじみのストリート系のほか、kyneや花井祐介と言った若年層に人気の高いイラストレーター、若手作家のHaroshiなどが登場する。
今回のオークションの目玉にもなっているkyneの作品は、ファインアートとして捉えられることのなかったイラストのオリジナル作品を前面に押し出すことで、「アートオークション」という言葉に根付く古いイメージを払拭しようという狙いが感じられる。
ファッションカルチャーの発信地としての原宿で、感度の高い若年層にアートというライフスタイルを提案し、新規顧客開拓を狙っている。
イラストやデザイン出身の作家が、オークションと言ったより資産的価値を要求されるファインアートの世界にも、若年層を中心としたマーケットに向けて発信し始めているということだ。
長らくアートとイラストは隔てられてきたが、ハイアートのマーケット、商業イラストのマーケットが融合しつつあるということだろう。
作品そのものの多様化とともに、マーケットも新規顧客を取り入れて拡大していくことが予想される。
ILLUSTRATION WAVE Vol.1
https://www.3331.jp/schedule/004529.html
HARAJUKU AUCTION
https://www.fashionsnap.com/article/2018-10-12/harajuku-auction/